CHAPTER 02 / CHECKどこまで使えるかを、別の角度から確かめる
7. 他の考え方と組み合わせる
EC起点の事業変革の考え方だけで仕事のすべてを説明することはできません。
EC・事業変革の課題は、顧客の状況だけでなく、競争環境、組織能力、予算、流通、規制、技術の変化にも影響されます。本書を中心に置きつつ、別の説明が成り立たないかも確認します。
たとえばECを販売チャネルではなく、顧客データと体験を事業全体へ返す起点にするという考え方が有効でも、顧客が商品を見つけられない、在庫がない、価格が高すぎる場合は選択されません。認知、理解、入手、利用、継続のどこが制約なのかを分けると、マーケティングだけで解けない問題も見つかります。
また、競合は同業他社に限りません。顧客は従来のやり方を続ける、内製する、購入を後回しにすることもできます。いつでも便利に買い、自分に合う提案を受けたいという気持ちが、どの代替で満たされているのかまで見ることで、本書の方法を使う範囲が明確になります。
8. 一週間で試す進め方
初日はEC注文一件の獲得から配送・返品・再購入までの採算を出すことから始めます。
二日目は観察した事実と自分の解釈を分け、三日目は別の説明を二つ出します。四日目に最も小さく試せる変更を決め、五日目から実行します。大きな成功を狙うより、前提の間違いを早く見つけることが目的です。
確認には新規率、再購入、客単価、物流費、貢献利益を使います。ただし、すべてを同時に追う必要はありません。最初に動く数字を一つ、その後に続く事業成果を一つ、悪化してはいけない品質を一つ選びます。三つに絞ると、結果の解釈と次の判断がしやすくなります。
一週間後は成功か失敗かの二択にせず、誰には効いたか、どの状況では効かなかったか、想定外の行動は何かを振り返ります。店舗とECを奪い合うチャネルにせず、発見・体験・受取の役割を顧客状況で組み替えるという本書固有の視点も使い、次の実験で対象、表現、タイミングのどれを変えるか決めます。
9. EC起点の事業変革ならではの学び
店舗とECを奪い合うチャネルにせず、発見・体験・受取の役割を顧客状況で組み替えるという点が、この本を他の入門書と区別します。
ECを販売チャネルではなく、顧客データと体験を事業全体へ返す起点にするという考え方を、現場の選択に落とすための重要な手がかりです。
EC・事業変革では、知識を知っていることと実際に使えることの間に差があります。EC注文一件の獲得から配送・返品・再購入までの採算を出すという小さな行動へ変えることで、自社の条件に合う部分と合わない部分が見えてきます。
10. おすすめする人と読後の問い
おすすめする人と読後の問い
EC売上は伸びても店舗、商品、物流と分断し利益が残らないと感じている人、EC・事業変革の全体像を短時間でつかみたい人、チームの共通言語を整えたい人に向いています。一方、すでに高度な専門手法だけを探している人は、必要な章を選んで読む方がよいでしょう。
読み終えたら「誰のどんな状況を変えるのか」「今は何が代わりに使われているか」「新規率、再購入、客単価、物流費、貢献利益のうち最初に動く数字は何か」を答えてみてください。